邑南町の観光名所、歴史の紹介
ここでは、島根県邑南町内にある歴史スポットや観光名所などを紹介しています。
久喜・大林銀山跡……今、邑南町で最も熱い歴史スポット(床屋千軒編)
(久喜地区編・大林地区編・岩屋地区編)
床屋千軒(とこやせんげん)は久喜エリアの鉱山跡で、平成23年より発掘調査が行われています。
その名の通り、最盛期には相当の賑わいをみせたことでしょう。調査によって、露頭掘・樋追掘の間歩が見つかり、更に焼窯跡、精錬鈩跡が見つかったことで一貫した作業が行われていたと見られます。
床屋と言っても、散髪の意味ではありません。「拭き床」の意味で、精錬鈩にフイゴの送風に由来します。
平成27年3月、ふらりと訪問した時に丁度発掘調査が行われていたので、飛び入りながら案内して頂きました。
平成26年(2014)の床屋千軒周辺(Googleマップより)
何やら大規模な伐採がなされています。
県道から入る林道があります。
奥まで乗用車で行けます。
伐採作業して久しいのか、かなり笹薮化してます。
丁度、発掘作業が行われていました。
床屋精錬遺跡の発掘作業中
4基並列して発掘された焼窯跡
窯内部の表面が赤橙色なのは被熱の影響
このままにしておくと雨で流されそうです…
発掘された焼窯跡。丸い形の半分です。
手前の石は通風口の跡と思われます。
こういった焼窯跡が床屋千軒で百基以上見つかってます。
こちらは精錬鈩跡と思われるそうです。
こんもりとした盛り土は、おそらく窯の跡。
一帯はスラグが散乱しています。
鉛を採取した時に出るスラグなのだとか。
発掘された精錬鈩跡と見られる石組み群
さらに上に登ると間歩群が存在します。
ここで採掘されたものを、すぐ処理したのでしょう。
床屋千軒と言われる区域。
その名の通り、相当の賑わいをみせたことでしょう。
その他、江戸時代前半と見られる陶磁器、小柄、寛永通貨1枚が出土しているので、江戸時代前期の遺構と思われます。
特に小柄は武士の持ち物であり、役人が忘れていったものでしょうか。
床屋千軒と言われるほど多くの人が住んだ場所でしょうが、焼窯からは硫黄が発生するので、その周辺はとても通常の暮らしができた訳ではなさそうです。精錬鈩跡地からかなり下がった平地に居住地帯があったと思われます。
……まあ、今で言う「公害」なのですが、かなり酷いものだったことでしょう。
ご紹介した通り、床屋千軒は戦国末期から江戸時代前期にかけての精錬遺跡です。久喜製錬所跡は明治時代のものなので、さすがに規模や設備に違いがありますが、そこを考慮しつつ眺めると、また興味深いものがあります。
※参考……久喜大林・銀山の里散策マップパンフレット(瑞穂文化研究会)
「石見の銀山」のなかの 『久喜・大林銀山』(いわみの種) 共に吉川正氏による。
>> 久喜地区編ページ
>> 大林地区編ページ
>> 岩屋地区編ページ
(2015年3月)
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