廃寺・無住寺院を訪ねて
ここでは、島根県邑南町やその周辺市町村にて、廃止、もしくは無住となってしまった寺院を紹介しています。
仙岩寺(川本町 谷戸)
臨流山 仙岩寺 曹洞宗
仙岩寺山の中腹に建てられており、敷地は極めて狭く、県道より二百段以上の石段を登って辿り着く、まさに修行の場といった寺院だ。
開創は天正4年(1576)。開山の大翁全碩は長江寺第六世で、小笠原氏の出自という。元は、仙岩寺山の西側にある谷「材木谷」に寺はあった。資料には、永禄二年の兵火で殿堂は灰燼に帰し、永禄十一年に再建したという。仙岩寺山には山城があり、おそらくは小笠原氏に関する戦であろう。段丘をなし、かつて二十戸くらいの聚楽があったそうだが、昭和のはじめまでに人家散逸した。その跡は今でもあるという。
現在の位置に移転した年代は不明。
山内には愛宕社が祀ってあり、小笠原長隆が永正元年(1504)京都の愛宕大権現から勧請したもので、ご神体の勝軍地蔵は二十五年に一度開くものだという。このことからも、小笠原氏の祈願所ではなかったかと『川本町誌』は推測している。事実、弘治二年、小笠原長徳は五十貫文を寄進している。
天領時代の寺領は六石(元禄五年)。末寺として、玉泉寺(美郷町地頭所)、長源寺(邑南町布施)、盛椿寺(邑南町高原)がある。
川本の町からよく見え存在感のある寺院だが、現在は完全に無住。境内は荒れ果て、本堂内部も痛みが激しく床が抜けている部分も見受けられる(2021年時点)。
仙岩寺の位置(Googleマップ)
以上、撮影は2021年4月
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